zorozoro - 文芸寄港

5ちゃんねるより引用

2024/04/08 14:23:20
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13本当にあった怖い名無し2022/05/14(土) 01:11:45.35ID:BMJJ3qoq0
 
 これは俺の叔父さんが死んだ時の話なんだけど、
 親父と実家の折り合いが悪かったらしくて、俺は殆ど叔父さんに会ったことがなかった。ただ、祖父母ももう他界してしまっていて、葬式にはどうしても親類が必要なんだそうだ。だから俺と母さんも葬式について行くことになった。
 俺の親父は、あまり自分の実家というか、地元のことについてなぜかあまり話してくれなかった。強いて言うならクソ田舎としか聞いていなかったんだけど、実家のある村に向かう車中、
「父さんの実家にはかなり変わった風習がある。かなり気色悪いと思うが、我慢して同じ事だけしていてくれ」
 その時「変わった風習」というワードに好奇心を覚えながら到着を待っていたのは内緒だ。今となってはすごく後悔しているから。
 着いたのは、家から車で四時間ちょいの所にある山村だった。
 車から降りて、葬儀場に入ったんだけど、式がもう始まってるみたいで、出迎えとかは特に無かった。他の人の迷惑にならないように、両親と3人でそろそろと会場に入った。
 結果から言うと、この村の葬式は、はっきり言って異常だった。
 前に母方の親戚が亡くなった時に出たことがあるんだが、その時の葬式とはまるで別物だった。
 日本の葬式って普通仏教だよな? って思った。おそらく皆んなが想像してる葬式と、俺が想像してる葬式は一緒だと思うんだけど。
 坊さんの格好がかなり変で、普通は紫とか白とかの着物(調べたけど袈裟って言うんだなアレ)を着てくると思ったんだけど、それがさ、真っ黒だったんだよ。
 読経も中々に変わってた。俺たちが知ってる「南無阿弥陀仏」ってお経みたいな、漢字を発音してる感じじゃなくて、
「ううううううあああああああ」
 って、動物の鳴き声みたいな感じのをもう80歳くらいのハゲた男が小一時間ずっとやってたんだ。
 それに普通の葬式だと焼香って言って、一人ずつ乾燥した葉っぱみたいなのを炭の上に置いていくやつあるよな? あれをやる代わりに親族が順番に手で死んだ叔父さんの口を覆うんだよ。
 流石に死体に触るのは気が引けるどころか気味が悪いと思ったけど、親父が車の中で言った「向こうでは俺と同じことをしろ」っていう言葉を思い出してなんとか乗り越えた。まあ他の参列者のヤツらの目が怖くて、従わざるを得なかったっていうのが1番デカかったと思う。
 もうすでにこの村の葬式がだいぶ変わってるのは分かって貰えたはずだ。
 

15本当にあった怖い名無し2022/05/14(土) 01:11:45.35ID:BMKJ3qoq0
 
 俺も最初は「なんだこれ…」と思いながら参列してたんだけど、あまりにも式が滞りなく進んでくもんだからその場の雰囲気に任せて親父や母さんの後ろをついて行くだけで終わる気がしてたんだ。
 けど本当に異常なのはここからで、葬儀が終わったら火葬場で灰にするんじゃなくて、村の中心に建ってる木で組まれた櫓に死体を上げるんだよ。
 それで何をすると思う?
 
 拍手してたんだよ。村人たちで櫓を囲って、パチパチパチパチって。
 
 大体2、3分くらいかな。本当に不気味だった。中には薄く笑みを浮かべてる人なんかも居て、この人たちは本当に悲しんでるのかなって少しだけ不安になった。
 これで葬儀の大体の行程が終わって、この時点で大分気が滅入ってたんだけど、問題はその日の夜。
 葬式のメシって結構静かっていうかしみったれた空気だと思うんだけど、どうやら村の集会所みたいなところで豪勢な食事をしたらしい。
 というのも、俺は参加してない。親父が神妙な面持ちで
 「お前は来るな。今日はもう遅いから早く寝なさい」
 と言って入れさせてくれなかった。
 仕方なく母さんと二人で叔父さんの家で留守番をしてた。
 次第に夜も更けてきて、流石に眠くなって来たので母さんと布団を敷いて先に寝ることにしたんだけど、ストレスなのかなかなか寝付けなくて、大体夜の三時を回った頃かな。ふと目が覚めちゃって。トイレに行こうとしたその時、とんでもないことが起きた。
 

16本当にあった怖い名無し2022/05/14(土) 01:11:45.35ID:BMKJ3qoq0
 
 櫓の方からミシ…ミシ…って音と、ずずず…という地響きのようなものが聞こえてきたかと思うと、続けて男の人の叫び声で
「あああああああああああああああああああああ」
が聞こえてきた。
 何かを搾り取られているような、そんな叫び声だった。
 びっくりして窓の方を振り向いたが、櫓の様子はちょうど木に隠れて見えなかった。
 音はすぐに止んで、俺は訳もわからず本気でパニクっていた。
 こればかりは気味が悪いなんてもんじゃない。
 とりあえず親父たちのいる集会所に行こうと部屋を出ようとしたら「大丈夫、これ録音だから」と母さんが優しく教えてくれた。
 度重なる異常なしきたりを目の当たりにした俺はもう限界に達していたようで、俺は高校生にもなって母さんに涙目でこの村はおかしいと訴えた。
 すると母さんは短く
「人は良いんだけどね。とにかく変わってるのよ」
 とだけ言った。
 その夜はもう一度あの叫び声が聞こえてきそうな気がして、一睡もできなかった。
 

19本当にあった怖い名無し2022/05/14(土) 01:11:45.35ID:BMKJ3qoq0
 
 次の日は特に何もなく、午前中に挨拶回りがあって、昼飯を食った後すぐに車で家まで帰った。
 ただ一つ不思議だったのは、俺が起きる頃にはもう叔父さんの遺体は墓に入れられてたってこと。火葬をしたって様子でもないので、海外の土に埋めるタイプの埋葬の仕方なのかなって思った。
 帰りの車中でこの村のしきたりがなんなのか、親父に聞いてみた。
 最初は渋ってたけど、母さんも口添えしてくれたお陰で重い口を開いてくれた。
 親父のいた村では、それがいつからなのかは分からないが、他所とは少し違ったものを祀っているらしい。
 葬式の常軌を逸したしきたりもそのせいなのだそうだ。
 夜の叫び声も、村人は死期が近づくと死ぬ前に叫び声をテープに吹き込んでおくと村の決まりでそうなっているんだと。
 親父も若い時にそういうしきたりが恐ろしくて家を出たらしい。村に戻ったのは祖父母が死んだ時だけだそうで、そのときに母さんはこの村のことを知ったらしい。
 いつもは寡黙で口数の少ない親父だけど、この時だけはしきりに「あの村へはもう行くことがないから早く忘れろ」
 と言ってきた。
 でも、あんなの忘れられるわけがない。
 それに親父は、叔父さんの声以外にテープに吹き込んだ音の話はしなかった。
 なら、あの櫓がミシミシと軋んだ音は?叫び声の前の、地響きのような音は、あれは録音だったのだろうか?
 そもそも、死期の近づいた人間があんな叫び声を出せるだろうか?
 というか俺は、叔父さんの死因すら教えて貰えてなかった。
 俺の考えすぎなのかもしれないが、今でも色々と気掛かりでならない。
 
 見てくれた人ありがとうございます。
 質問等あったら書き込んでくれたら答えます。

20本当にあった怖い名無し2022/05/14(土) 01:11:45.35ID:BMJJ3qoq0
 
 釣りでも面白かった。楽しい時間をありがとう。
 
21本当にあった怖い名無し2022/05/14(土) 01:11:45.35ID:BMJJ3qoq0
 
 >>19
 気になったので簡単な考察をしてみた。
「叔父さんの死因すら教えて貰えてなかった」の部分。
 邪推かもしれないけど、村にはまだ生贄の文化があったんじゃないか? 
 祭ってるのが邪神か何かでそれに捧げるためだと考えたら櫓とか拍手とかにも説明がつくんじゃないかと思うが、いかんせん情報が少ないな。創作くさい。
  
24本当にあった怖い名無し2022/05/14(土) 01:11:45.35ID:BMJJ3qoq0
 
 >>21
 同じこと考えました。
 当時は意味がわかりませんでしたが、後々になってその考えに至って怖くなりました。
 幸い亡くなった叔父さんとはあまり縁がなかったですが、これが家族やよく見知った人でってなると少し…って感じですね。

(5ちゃんねるより引用)
加筆してあげ直すかも。
鬼氏
oonishi.write.jp@gmail.com
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コメント



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1.60v狐々削除
怖くてよかったです
もうちょっと危機感があってもよかったと思いました
2.80べに削除
掲示板の話ってより身近に感じるから怖いよなあ。分量の割にはスラリと読めてしかも怖い。