「……熱い」
身体が熱い。頬を赤らめ、一人ベッドに横たわる私はどうやら君に好かれてしまったようだ。私の中は君のことでいっぱいだ。もう君のこと以外何も考えられない。大学も友達との約束も全部キャンセルした。体内温度はだいたい三十七度ちょっとになった。それもこれも全部君のせいだ。
一旦何も考えずに瞼を閉じる。君のことを忘れたかった。しかし、君が現れる。
「また来たの?風くん」
「華さん!ボクはキミと一つになりたい!」
「……」
君と一つになんてなってたまるか。もう忘れていたのに……なのに君は私の手を絡ませる。
「キミはボクを忘れてしまったのかもしれないけど、ボクはキミをずっと見ていたんだ!」
「見ていた?……ずっと?」
「そう、ずっと」
私は誰かに見られていたのだろうか。
「ボクはずっと期待していたんだよ」
私は誰かに期待されていたのだろうか。
「もうキミを一人にしない」
私は誰にも見られていない。だから今も暗い部屋で一人静かに眠っている。
「キミと一つになろう」
そう言って私に絡みつく。絡み合い、混ざり合い、溶け合い、私の意識は溶けて君と一つになっていく。
「キミはもう何も考えなくていい、ボクと一つになって消えていくんだ」
「そう、消えて……消えていく!?」
私は正気に戻った!私は私と一つになろうしている君を見た。君は怪しげな笑みを浮かべていた。
「消えるってどういうこと!?」
「正気に戻ったようだね、でももう遅い!もうすでにキミはボクに侵されて消滅しようとしているんだ!」
そうだ、私を苦しめている君の正体は!
「どうやらボクの正体に勘づいたようだね、そうさ、ボクはカゼの精霊!ボクはキミが大好きだ!キミはボクたちが生存するのに最適な環境だ!」
「そんな……誰か助けて!」
「助けを呼んでももう遅いよ、もうすでにキミは孤独なんだからね!」
孤独の中、絶望に打ちひしがれた私にこんな言葉が響いてきた!
「そこまでだ!」
その声の方向にカゼの精霊は振り向く。
「何者だ!」
それに呼応するように彼らは名乗りを上げる。
「白血球!」
「マクロファージ!」
「NK細胞!」
「キラーT細胞!」
「B細胞!」
「我ら!免疫細胞!」
そう名乗った免疫細胞達はバズーカ砲をどこからともなく取り出して
「免疫ハリケーン【二郎系】!」
とカゼの精霊めがけて発射する。その玉は巨大なアブラカタメニンニクマシマシの二郎系ラーメンとなって向かってくる。
そして、爆発した。――ありがとう、免疫細胞
「って二郎系ラーメン!?」
目が覚めると暗かった部屋は明るくなっていた。微かに生姜の香りが漂ってくる。キッチンの方を見ると私の数少ない友人二人が手探りで料理をしていた。一人が気づいて
「あ、起きちゃった?」
「ちょっとー、りんごの皮剥きムズイんだけどー」
「ピーラーで剥きなさいっての……心配で来ちゃった、生姜湯できてるけど飲む?」
体温は平熱に下がった気がする。でも体の中はほんのり温かくなった。
身体が熱い。頬を赤らめ、一人ベッドに横たわる私はどうやら君に好かれてしまったようだ。私の中は君のことでいっぱいだ。もう君のこと以外何も考えられない。大学も友達との約束も全部キャンセルした。体内温度はだいたい三十七度ちょっとになった。それもこれも全部君のせいだ。
一旦何も考えずに瞼を閉じる。君のことを忘れたかった。しかし、君が現れる。
「また来たの?風くん」
「華さん!ボクはキミと一つになりたい!」
「……」
君と一つになんてなってたまるか。もう忘れていたのに……なのに君は私の手を絡ませる。
「キミはボクを忘れてしまったのかもしれないけど、ボクはキミをずっと見ていたんだ!」
「見ていた?……ずっと?」
「そう、ずっと」
私は誰かに見られていたのだろうか。
「ボクはずっと期待していたんだよ」
私は誰かに期待されていたのだろうか。
「もうキミを一人にしない」
私は誰にも見られていない。だから今も暗い部屋で一人静かに眠っている。
「キミと一つになろう」
そう言って私に絡みつく。絡み合い、混ざり合い、溶け合い、私の意識は溶けて君と一つになっていく。
「キミはもう何も考えなくていい、ボクと一つになって消えていくんだ」
「そう、消えて……消えていく!?」
私は正気に戻った!私は私と一つになろうしている君を見た。君は怪しげな笑みを浮かべていた。
「消えるってどういうこと!?」
「正気に戻ったようだね、でももう遅い!もうすでにキミはボクに侵されて消滅しようとしているんだ!」
そうだ、私を苦しめている君の正体は!
「どうやらボクの正体に勘づいたようだね、そうさ、ボクはカゼの精霊!ボクはキミが大好きだ!キミはボクたちが生存するのに最適な環境だ!」
「そんな……誰か助けて!」
「助けを呼んでももう遅いよ、もうすでにキミは孤独なんだからね!」
孤独の中、絶望に打ちひしがれた私にこんな言葉が響いてきた!
「そこまでだ!」
その声の方向にカゼの精霊は振り向く。
「何者だ!」
それに呼応するように彼らは名乗りを上げる。
「白血球!」
「マクロファージ!」
「NK細胞!」
「キラーT細胞!」
「B細胞!」
「我ら!免疫細胞!」
そう名乗った免疫細胞達はバズーカ砲をどこからともなく取り出して
「免疫ハリケーン【二郎系】!」
とカゼの精霊めがけて発射する。その玉は巨大なアブラカタメニンニクマシマシの二郎系ラーメンとなって向かってくる。
そして、爆発した。――ありがとう、免疫細胞
「って二郎系ラーメン!?」
目が覚めると暗かった部屋は明るくなっていた。微かに生姜の香りが漂ってくる。キッチンの方を見ると私の数少ない友人二人が手探りで料理をしていた。一人が気づいて
「あ、起きちゃった?」
「ちょっとー、りんごの皮剥きムズイんだけどー」
「ピーラーで剥きなさいっての……心配で来ちゃった、生姜湯できてるけど飲む?」
体温は平熱に下がった気がする。でも体の中はほんのり温かくなった。